読書記録

そばもん ニッポン蕎麦行脚 17巻

出雲そばの話だけでなく、小泉八雲の松江での様子も描かれています。日本全体が八雲が危惧した状況に陥っているのは大変残念ですが、松江にはまだ八雲が愛した気高い日本人が多くいて、風景にも「神々の国の首都」の雰囲気が漂っています。私が40年近く宍道…

会社を辞めずに朝晩30分からはじめる起業

3月13日付記事で「副業の教科書」を紹介したとき、 「起業に関する新刊書を10冊くらいは目を通しましたが、このムックにあるような『助走段階で役立つ情報』は見つけられませんでした。」と書きました。 書いた後、Amazonのリンクを貼って、記事を確認したと…

副業の教科書

最近の「大人の男性」対象の雑誌(例えば週刊ダイヤモンドとか東洋経済とか大人のOFFとか)は、老後資金の貯え方とか、副業とか起業に関する特集が増えているように感じます。日本の財政の状況を考えると、年金と退職金だけでは下流老人になる可能性が高いと…

森博嗣「小説家という職業」

気づいたら年末から年始にかけて、森博嗣氏の本を立て続けに3冊読んでました。小説ではなく新書ばかり。考え方がすごく似ていて、「そう、そうなんだよね。」と、自分の中で言葉になっていなかったことが言葉になっていて助かるので。 たとえば下記の文章は…

柴山元彦著「宮沢賢治の地学教室」

「それから逆サイクルホールというのもあるよ。これは高い所から、さっきの逆にまわって下りてくることなんだ。(略)冬は僕等は大抵シベリヤに行ってそれをやったり、そっちからこっちに走って来たりするんだ。」 上記は子供向けの天気図の解説書ではありま…

「40代から最短で速くなるマラソン上達法」

つくばマラソンが迫る中、いつものように週末TSUTAYAでぶらぶらしていて、目にとまった本です。 1日30本以上のヘビースモーカーで48歳でメタボと診断された著者が、たまたま誘われた駅伝大会に出るために走り始め、1年半後にはフルマラソン3時間を切り、53歳…

「ウナギの博物誌 ―謎多き生物の生態から文化まで」

私が所属する松江のNPO法人では、かなり以前から汽水域こそウナギの重要な生息場所と考えていました。というのは、大阪では「出雲屋」という名のウナギ屋が多く、その理由として上方で売られるウナギは宍道湖・中海で取れたもので、天然物としては最もおいし…

石黒 耀「死都日本」

地理の講義でAT、Ah火山灰がどれほど厚く日本を覆ったか聞いたときにゾッとして想像した、まさにその状況がリアルな小説になっていて驚きました。日本はどういう所にある国なのか、本当は地学を高校まで必修にして国民全員が知っていなければならないと思う…

WILL POWER 意志力の科学

「頑張れ、根性出せ!」みたいな精神論的浪花節が大嫌い、でも意志力は鍛えたいという方には、とても説得力があり実効性がある本です。実験や観察例に基づいて説明されているのも嬉しいところ(裏を取るのは大変ですが)。 例えば犯罪者の仮釈放を認める審議…

山本太郎「感染症と文明 −共生への道」

天然痘が根絶したとき、漠然と思いました。これは一概に、人類にとって好ましいことと言えるのだろうか? そして最近の、民放を1時間くらい見ていたら必ず「除菌」という言葉を聞かざるを得ない風潮にも危険を感じて、本書を読んでみました。 著者は感染症の…

駒崎弘樹「社会を変えたい人のためのソーシャルビジネス入門」

Amazonでは「社会を変えたいと願うすべての人、必読!」とありますが、事業拡大における留意点(たとえば、利益が安定するまでは事業を広げない、とか)や、世代交代(非創業期メンバーが創業期メンバーを超えるようになったとき)に伴って起こりがちな状況…

「ためしてガッテン 健康の新常識事典」(主婦と生活社)

テレビでは毎日どこかの局が健康ネタとか料理・グルメネタの番組を放映していますが、その中で私が一番参考にしているのは「ガッテン」です。とはいえ毎回欠かさず見るわけではないので、この本はとても便利だと思いました。とても読みやすく、図書館で20分…

米沢富美子「人生は楽しんだ者が勝ちだ」

調べ物で図書館に行って、ふと目がとまって一気に立ち読みしてしまいました。女性研究者の卵さん達には、素敵なエールになると思います。由緒正しき日本語(いわゆる大阪弁)で書かれているのも、大阪出身者にとっては魅力です。 世の中、何とかなると思って…

別冊宝島「孫子の戦略」

小学校低学年の頃から、父親から古事記と論語と孟子を読まされていたので、古典は好きでした。とは言え論語と孟子は何か肌に合わないと漢文の全集から他のを読むうちに、荘子と孫子が好きになりました。その頃の全集の「解題」には、孫子の時代に戦いが貴族…

「栄光なき天才たち4」

今年のノーベル医学・生理学賞が、日本人の大村智氏に決まりました。 本書では、ノーベル賞医学生理学部門の候補にあげられていた3名の日本人医師が紹介されています。そのうちの1名は、第1回の受賞候補者でもありました。しかし表題の「栄光なき」からうか…

「ローマ法王に米を食べさせた男 過疎の村を救ったスーパー公務員は何をしたか?」

えっ?唐沢寿明が主演?かつ山本耕史もレギュラー?これは見るしか無いでしょ!と欠かさず見ている「ナポレオンの村」(TBS系)。その原案本ということで読んでみました。 明白に共通しているのはローマ法王に米を食べさせたことくらいで、「滝壺レストラン…

参考書25:科学者という仕事ー独創性はどのように生まれるか

私は自分を独創的な科学者だと思っています。懸濁物食二枚貝が水質浄化していること、サンゴ礁では窒素固定による新生産が行われていること、除草剤使用が水草→植物プランクトンへのレジームシフトの大きな原因であることなど、従来説を全く覆したのは私の筆…

フランス人は10着しか服を持たない

タイトルを見て衝動買いしました。「やっぱりそうなのかな?」と思った経験があったので。 20歳の頃、アメリカに同期留学したパリジャンの友達の家に泊めてもらったとき、彼女はいつも同じ服を着てました。アメリカでは毎日、少なくともシャツやセーターは買…

ハーバード式病気にならない生活術

巷に広まっている健康情報を、疫学の観点から解説した本です。「コーヒー・紅茶・緑茶、健康にいいのはどれ?」「脳トレや運動で認知症が防げるか?」など、身近なトピックを14取り上げています。 小児科医である著者の信念は「予防は治療に勝る」です。その…

日本人の9割は正しい自己紹介を知らない

私が国際委員になったり海外から招待講演を依頼されるようになったのは、交通事故で脳をやられて、英語がほとんど話せなくなって以降です。それでも海外で楽しく仕事できるのは、たぶん、高校の1年間、アメリカで研究者の家庭(マサチューセッツ工科大学の教…

花里孝幸著「ネッシーに学ぶ生態系」

○○菌によって水質が浄化するというのは本当か、ハクチョウの餌付けが水質に与える問題、「魚がたくさん住めるきれいな湖にしよう」というキャッチフレーズの科学的誤りなど、広く誤解されている水質に関わる項目を、物質循環の考え方から分かりやすく解説し…

大人のための図鑑 地球・生命の大進化

図鑑とあるように、全ページに図や写真があります。巻頭から巻末に向けて、地球の形成、生命の進化、人類の未来と解説されています。全球凍結など、私が学生の頃は知られていなかった、比較的最近明らかになったことも含めて分かりやすく解説されています。…

タナゴを知る・見る・飼う

1月19日付記事で、タナゴが生息するには住み場所としての水草、産卵場所としての二枚貝、餌としての動物プランクトンが必要だから、タナゴの復活こそ自然再生のシンボルとなり得ると紹介しました。でも多くの方達はタナゴを見たこともないでしょうし、どこに…

クライブ・フィンレイソン著「そして最後にヒトが残った」

「地球に存在した20種以上の人類の仲間のなかで、なぜヒトだけが生き延びることができたのか」。 帯に書いてあった上記を読んで、「そんなの、単なる偶然でしょう。。」と思って中をパラパラ読んだら、著者もそう考えているように見えたので購入して通読しま…

かびんのつま

化学物質過敏症になったら、どんな生活になるか。なってしまってからでは遅すぎるので、コミックという手軽な形で一度見ておくとよいかと思います。 Amazonのカスタマーレビューで評価の高い方と低い方のコメントを読み比べると、この病気の現状と問題点も見…

生き物調査っておもしろい!花室川と高校生と環境教育

自宅から最も近い県立高校である竹園高校では、生徒さん達が17年間毎月、学校近くを流れる花室川の生物調査を続けて来ました。その間、ハグロトンボと沈水植物の関係、ヨシノボリの異常固体出現、オオカナダモの枯死など様々な現象を追跡し、その成果は日本…

Fundamentals of Geobiology

昨年の柏図書館選書会で購入いただいた本が何冊か届きました。「学生さんに読んでもらいたい」本を投票したので、当然おもしろいものばかりなのですが、中でも表題の本は、改めておもしろいと思いました。研究室でも購入しますので、読みたい方は柏図書館に…

英文メールを書くのに役立ちそうな本

ある学会のEditorial Boardに招かれ、その返事をメールで書く参考にと学生の頃に買った「英文手紙の書き方」という本を久々に開いて、これはもう使えないと思いました。別刷請求を葉書でしていた時代の本。。。そういえばメールの文章については、全く本を買…

科学英語のセンスを磨く

OBのT君が「冠詞の使い方について、しっくりくる説明だったので、送ります」と、該当章を送ってくれました。確かに、行き当たりばったりではないかとさえ思っていた冠詞の使い方が、実際に冠詞がついている確率を論文から計算したデータ付きで示されていて、…

NHKテレビテキスト趣味DO楽「思いでを残そう!達人が教えるデジタルカメラ」

松江は写真心のある人にとっては、宝の山かもしれません。 以下はデジカメで撮ったものですが、現場で受けた印象がうまく表現できていません。 例えば紅葉に囲まれてさらに存在感を示す松江城とか、 ファンタジーの世界から出てきたようなコーヒーショップ …