自然環境野外総合実習「荒川・東京湾実習」

私が所属する東京大学大学院新領域創成科学研究科・自然環境学専攻は「陸域環境学コース」と「海洋環境学コース」からなります。4月7日から9日まで、新入生のみなさんと教官総勢60名弱で、自然環境野外総合実習にでかけました。
初日と二日目は荒川の源流(秩父にある東大の演習林)から東京湾三番瀬)までを、森林・河川地形・水文などを専門とする先生方が川沿いに下りながら要所要所で解説し、最終日は東京湾物質収支や干潟の物質循環、生物相について専門の先生方によるレクチャーのあと、実際に三番瀬の干潟で環境アセスメント調査の実演や生き物の解説を受け、貝や多毛類、水鳥を観察して解散しました。写真は2日目、河岸段丘で露頭を観察しているところです(個人情報保護のため人は背面が写っています)。

これほど広い分野の先生方とフィールドで直接教えてもらったり質問したり(そして夜は一緒に飲んで盛り上がったり)、なおかつ源流から海岸までを実際に見ながらの実習というのは、全国でも(もしかしたら世界でも)ほとんどない、学際的な総合実習ではないかと思います。学生のみなさんと同様、教官の私にも、これまであまり接点がなかった林学関係のお話しをうかがえて、今後の河川環境を研究する上で多いに参考になりました(上流で川に供給される有機物のかなりの部分が落ち葉なんです)。
で、新米教授の私は今回は完全に学生気分で参加したのですが、最後の三番瀬干潟でメンツをかけて多毛類を掘り出し、学生のみなさんにお見せするお役目を果たせました。私の卒論は、多毛類と環境との関係を議論したものだったので。