霞ヶ浦の水質-古くて新しい問題-

霞ヶ浦の水質を「浄化」し、自然を取り戻そうと活動している市民団体が、「ウナギが元気に暮らせる霞ヶ浦」を目指して一万人規模のアンケートを行うそうです(産経新聞茨城版5月11日)。
水質の浄化といったとき、霞ヶ浦は水道水源ですので、その観点からは有機物が少ない水が浄化された水、ということになります。
霞ヶ浦はほぼ最下流域にある、もともと栄養物質が集積する位地にある湖です。このような湖沼での豊かな生態系とは、多くの魚が育つことができる、有機物にあふれた生態系です。
霞ヶ浦はしかし、ここを農業用水や水道水源にするとの目的のもとに淡水化されました。特に、水道水源としての霞ヶ浦を考えたとき、かつての自然が戻るような水であっては、大変困ることになります。
まして、ウナギが元気に暮らせるために海と行き来できるようにしては、塩分が上昇して、農業用水としても使えなくなります。
このように霞ヶ浦の水環境問題は、自然再生をしようにも、過去のようになっては困ることも起こるという、一筋縄ではいかない要素を抱えています。
これについて多方面から考えてみたいと、9月12日に水戸で開かれる陸水学会で、シンポジウムを企画しました。入場無料ですので、お近くの方は是非いらしてください。