参考書7 山本荘毅編「陸水」(共立出版)

前任の教授から引き継いだ私の学生さん達は、吉村信吉先生が唱えられた「総合湖沼学」ではなく、どちらかというと水文学をされているらしいということで、学生時代に使っていた山本荘毅(編)「陸水学」(共立出版)を、およそ四半世紀ぶりに読んでみました。
面白い本って、序文からして面白いんですよね。ぺ〜ぺ〜の学部生だった頃にはその面白さが分からなかったこの序文、今回は思いっきり笑っちゃいました。
陸水学とはどんな学問か、水文学とは、という質問はよいほうで、水文学(みずぶんがく)とは何をやる学問かというに至っては次元のちがうものを感ずる。地文学ということばは影が薄れているが、天文学天文学(てんぶんがく)と読み、何をやる学問かという人はあまりいないはずである。」
そうなんですよねえ。この状況は今も昔も変わらない。その証拠に「すいもんがく」で変換させたらどんな文字が出て、「てんもんがく」ならどうか、試してみてください。
この序文には他にも「地理学講座の中にある陸水の項は気候の一部であったり、土壌や植物と抱き合わせになっている。海洋との組み合わせなら我慢できるが、これも実現していないのが現状である」と記されています。
うちの学生さんなら、ここ柏キャンパスで陸水と海洋の組み合わせが実現したことを知っていますよね。「水環境論」、5月までは海洋の木暮先生、6月からは陸水の私が引き継ぎます。
他にも「陸水学で取り扱う水はWasserではなくGewasserなのである」など、実に意味深な記述にあふれた序文であります。。。
序文だけでも面白いこの本、執筆者一覧を見ると、地理学会ですごっく怖い、あの先生方だったりします。
ちなみに、この本は共立出版の「地球科学講座」の1冊で、同じシリーズに、以前にご紹介した高山茂美「河川地形」があります。
陸水 山本荘毅 古本」で検索したら、1978年発行のこの本、まだ古本で定価より安く入手可能なようです。