偶然と必然

昨日14日、同じ新領域環境学に属する国際協力学専攻の学生さんが来てくれました。彼女は、私が学生の頃に下宿していたお部屋の、今の住人なんです。
その下宿は東大地震研元所長だった先生のお宅の一部を学生に貸しておられて、私の頃はご退官から日が経っていなくて、東大から移した火山岩が食堂にゴロゴロしていました。さすがに今はもうきれいに片づいているとか。。。
店子どうしが同じ環境棟に教授と博士課程学生でいることに、一番喜んでくださったのは、恐らく先生の奥様です。それはそれはお美しい方で、学生だった私に「化粧はしなくていいから、日焼けだけは気をつけなさい」と教えてくれました。私がしょっちゅう野外調査をしていてるのにそれほど皺が目立たないのは、奥様のこの忠告の賜と、とても感謝しています。
この新領域にはもう一つ、私にとっての偶然があります。国連環境計画に就職しようと文科三類(国際関係論進学予定で)に入った私が、何となく採ってしまった全学ゼミ「環境問題研究法入門」。当時、東大工学部化学工学の講師として、その講義を担当されていたのが、新領域環境システム学専攻の柳沢教授です。
当時の柳沢先生の講義は、スミス夫妻の写真集「水俣」から始まりました。胎児性水俣病患者の写真が示すもの、それが私の環境研究の基本となり、理学部に進学するきっかけとなりました。
若い頃の偶然は、歳を重ね経験が重なると、必然の一部だったとしか見えなくなるようです。寿命の半分を越した私の年頃は、これからそういうことが少しづつ見えてくるのでしょう。そして今、様々な偶然に、学生さん達は遭遇されているのでしょうか。。。