研究紹介3:水草群落の極相--選手交代と排除の仕組

淡水の池や湖沼は、だんだん埋まって、湿地になるのが遷移との記述は見ることがあります。ですが、そこに池や湖沼があるということは、ある時点でそれまで乾いていた大地にだんだん水がたまるようになって、水位が少しづつ増えた時期があったからこそ、池や湖沼があるわけです。そうすると、水が無かった時から水位が最大になる時期までに植物の遷移があって、さらにその水位で落ち着いている間にも、何らかの遷移があっても不思議はありません。
水草群落のそういった遷移を、二つの手法で研究しています。ひとつはPaleocarpology(大型植物の種子や胞子などから古環境を解析する手法)と炭素・窒素安定同位体比による、シベリアの湖沼堆積物の解析。もう一つは、極相を構成していると考えられる植物と、堆積物間隙水の窒素同位体比の分析結果から、極相を維持するメカニズム(他の植物が入って来れない仕組み)を解析しています。
専門を尋ねられると「生物地球化学」と答えますが、サンゴ礁生態系での窒素固定機能の重要性を指摘した研究やこれらの研究は、まさに生物地球化学ではないかと思っています。