環境ホルモン学会ニュースレターVol.10No.1に興味深い報告が2件ありました。
高野 裕久 「環境化学物質と他の環境要因の複合影響は低濃度効果として発現しうる」 では、プラスチックの可塑剤として汎用されてきたフタル酸ジエチルヘキシルがアトピー性皮膚炎の憎悪や増加に関与してきた可能性が、少なくとも動物実験レベルでは明らかになったとしています。これを受けて、古典的な毒性だけでなく、より軽度な、しかし生活や生命の質(quality of life)に密接に関連する影響を検討・評価できる、環境化学物質の健康影響評価手法の確立を目指すそうです。
大迫 誠一郎「環境化学物質による後世代影響 〜環境エピジェネティクス〜」 では、海外の研究から、抗菌剤のビンクロゾリンの胎児期曝露により生まれたラット雄産仔のさらに後世代であるF2, F3, F4で、ビンクロゾリンの直接曝露を受けていないにもかかわらず、対照群より精子数が少なく、精巣内の生殖細胞アポトーシスレベルが高いとの報告を紹介しています。つまり内分泌攪乱物質に先祖が曝露されたことのある雄は、自分が曝露していなくても精子数が少なくなってしまうのです。
ところで私は交通事故で脳脊髄液減少症という後遺症を負っています。追突時の衝撃で髄液に圧がかかったときに、髄膜に穴があいて圧を解消させる反応が起こり、その後に穴が塞がらないで髄液が漏れ、脳が縮小してしまう後遺症です(アホな脳がますますアホになってしまった。。。)。
圧を逃すために穴が開くのは合理的な反応だと思いますが、その後に塞がらないのはどう考えても適応的ではありません。これももしかしたら化学物質の影響かもしれないと思っています。