環境ホルモンと脳脊髄液減少症

環境ホルモン学会ニュースレターvol.10no.2に興味を引く指摘がありました。内分泌攪乱作用が疑われている物質が子宮内膜症の発症・進行に関係している可能性、そして、内分泌攪乱化学物質がヒトの免疫・アレルギー疾患に関わっている可能性についてです。また、慢性疲労症候群の原因が化学物質汚染ではないかと、既に指摘されています(水野、2004)。
私は「脳脊髄液減少症」という後遺症を抱えていますが、この後遺症を発見した篠永正道教授は、上記の、化学物質が原因である可能性が指摘されている慢性疲労症候群子宮内膜症について、脳脊髄液減少症が関与している可能性を指摘されています。さらに、脳脊髄液の減少は、内分泌系や免疫系の機能異常をもたらすとしています。
脳脊髄液減少症は、脳圧亢進を防ぐために硬膜に穴があいたものがその後も塞がらない後遺症です。穴があくこと自体は合理的な反応かもしれないと思いますが、それが塞がらないというのは生物の機能として正常ではないと考えています。化学物質に汚染された水鳥の卵の殻が十分な強度を保てずに個体群が維持できなくなっているように、硬膜の穴が塞がらないという現象も、化学物質汚染が進んだことで生じている可能性があるとのではないでしょうあ。そして、脳脊髄液減少症の治療として自己血で穴を塞いでも3割の患者には効果が薄いこと、また効果があっても完全な回復はほとんど稀であることは、症状の多くが脳脊髄液減少症だけではなく、化学物質によって直接起こっているからではないかと考えています。つまり、化学物質に反応している人ほど脳脊髄液減少症になりやすく、また他の様々な疾患にもかかりやすい、というわけです。
現在、内分泌攪乱作用が疑われている物質の大半が農薬です。農薬の使用を極力抑えること、農薬を使用しない農業を支え、育てていくことが、人を守り、この国の自然を守っていくことだと、水環境の研究者として考えています。