今日から始まった陸水学会水戸大会は、ちょっと変わったプログラム編成で、初日の午前がポスターセッションでした。陸水研からは修士2年全員の4名がポスター発表で、9時半から12時までの長丁場を最後までしっかり説明してました。
午後は博士3年生の発表で、大気降下物と水質との関係について、50年間の水質変化を文献で比較して議論しました。この会場では同じようなテーマの発表がいくつかあり、とても参考になりました。
18時からのミニシンポジウム「陸水学会の現状と今後を考える」では、世界的に陸水学に逆風が吹いている現状が紹介されました。その原因のひとつは、海洋学と比べて陸水学は国レベルで取り組む学問だとみなされていないこと、また基礎科学全体が逆風にさらされている現状において、基礎科学である陸水学もその傾向から免れていないことが考えられるとのことでした。
国内における他の水環境関係の学会においても、将来は大幅な会員減少が予測されているそうです。その大きな割合を占めているのが、かつて公害問題が深刻だったときに地方自治体に作られた研究所の研究者です。近年は統合や新規採用をしないなどで、研究者を減らす方向にあることが、その原因です。
総合討論では、陸水学とは何かに立ち返るべきだ、という意見が出されました。それは総合学問であることだと。かつてのように、会場はひとつにするということもあっていいのではないか。会員みなが、湖水の流動や、ミジンコの摂餌や、脱窒の発表を一同に聴くという場であっていいのではないか。
新領域自然環境専攻を受験された学生さんに、どうしてここを受けたのか尋ねると、環境について総合的に研究できそうだから、という答えが少なからず返ってきます。そういう意欲的な学生さん達のニーズに合った学会のひとつとして、陸水学会は本来もこれからも、フィールドに根ざした総合科学という、環境科学の王道を進んでいくことでしょう。