昨日開催した「湖沼生態系再生研究会(手賀沼モデル)」では、千葉県環境研究センター水質環境研究室の平間幸雄先生から、手賀沼の水質について解説いただきました。
手賀沼は面積6.5平方キロ、平均水深0.86mという、浅くて小さな湖です。かつては畑や林だったところに宅地化が進み、1960年頃から沈水植物が減り始め、1970年代以降は流入河川よりも湖内のCODが高い状態で推移していました。現在のCODは8〜10mg/lくらいです。負荷の分類としては生活系が最も増加しているとのことでした。
質疑応答では、北千葉導水によって増水しやすくなり、それが抽水植物を枯死させて水質に悪影響を与えているのではないか、多少の水位低下では琵琶湖のように水草が生えて水質がよくなる効果は期待できないのではないか、ヘドロを除去しないと水草は生えないのではないか、など、様々な声が寄せられました。
次に私が、琵琶湖における水草の現状について、水草を刈って肥料にする仕組みが崩壊した現在、水草はスクリューに絡みつく、流れ藻の腐敗臭がするなど弊害の原因と捉えられていることを写真なども使ってご説明しました。
その後で行ったフリーディスカッションでは、どういう湖沼生態系を手賀沼で再生すべきか、今は再生に向けて具体的に行動できる状態ではない、もう少し情報収集と意見交換が必要ということになりました。
日本のように人口密度の高い国では、人の影響がない、手つかずの自然というものはほとんど存在しません。この国では人の自然への働きかけが持続的であるように、長い時間をかけて試行錯誤が続けられてきたのだと思います。
しかし1950年代の高度成長以降、日本人の生活様式は、それまでとは断絶に近いくらいに変わりました。その変わった生活様式で自然とサステナブルにつきあっていくにはどうすればいいのか。それは既に、過去に例がない状態を新たに作らなければならない段階にあるのかもしれません。