30年前のお礼

今日は地理学会のシンポジウムで、原田正純先生の「水俣学序説−水俣病の教訓をどう活かすか」を聴講してきました。
とても意味深のお話ばかりで紙面を尽くしても伝え切れません。主な内容は先生のご高著「水俣が映す世界」に書かれていたことと共通していたように思います。

水俣が映す世界

水俣が映す世界

原田先生のご講演があると知って、自然地理のセッションをすっぽかして聴講に行ったのには、深〜い訳があります。
まだ文系の学部1年だった時、1年生を対象にした公害関係のゼミで水俣病について習った私は、大胆にも原田先生に、「胎児性水俣病について現状を教えてほしい」と手紙を出しました。とてもお忙しかったに違いない先生は、それでも英語の別刷と、その意義を詳しく書いたお返事をくださいました。
たかが学部1年生の素朴なお願いに丁寧に対処いただいたことに、私はすっかり感激して、社会人になったらどんなに忙しくても、熱心な学生にはまじめに対処しようと思いました。いただいた英文の論文は当然ながら、学部1年・医学の知識皆無の私に理解できるものではなく、このお礼はいつか環境問題に何らかの形で貢献できるようになったらしようと思っていました。

それから30年近く経ち、今日のシンポジウムの後、ようやく原田先生に当時のお礼を言うことができました。