地理の醍醐味、車窓観察

今日は正午前から大津で会議があり、昨夜は名古屋泊だったので、いつもは新幹線で駆け抜ける名古屋〜大津間を在来線で2時間かけて、車窓観察してきました。主目的は、木曽川長良川揖斐川の3河川の樹林化の程度を見ることだったのですが、9月22日に書いた彼岸花についてもいろいろ面白い現象を観察できました。
まず樹林化ですが、3河川とも一辺10cm以上の礫が転がっているような位置を電車は通り過ぎていきました。いずれも両側は樹木、河原の真ん中まで草が生えていましたが、相模川の同じような礫がたまるような勾配の所とくらべて、樹林化の程度は少ないように見えました。
彼岸花については、名古屋から関ヶ原の手前までは、まだ稲刈りが終わっていなくて、黄色い田圃の畦や河原に、鮮やかな深紅の絨毯のように、彼岸花が満開でした。つい先日に咲き始めたかのようで、もうすっかり色あせている、つくばとは大違い。
ところが、です。関ヶ原付近では稲刈りが終わっていて、彼岸花はつくば並にしおれたり枯れたりしていました。
それで、やっぱり彼岸花は気温の変化を感じて花茎を伸ばすのだと思いました。恐らく、最低気温が何度かになる日が何日か続くことで出すのだと思います。それで、名古屋から関ヶ原までは、つくばや関ヶ原のような、より気温が低いところよりも遅れて花茎を伸ばしたのではないでしょうか。
では大津付近では再び深紅の絨毯のような彼岸花を見れるかと楽しみに眺めていたのですが、なぜか米原を過ぎたら、彼岸花はそもそもいないようで、枯れた花茎さえ見えませんでした。徹底的にいないのが不思議でした。
因みに車窓観察は、東大理学部地理学教室で結構重視されていました。私たちの期は大巡検が北海道だったのですが、在来線で上野から北上。その間「決していねむりせず、車窓観察するように」とのお達しがあり、東北も半ばを過ぎたところで「どういう地形の変化がありましたか?」
答えの一部は、周氷河地形の影響が表れると、山の傾斜がなだらかになったり、非対称谷が現れる、でした。以来、車窓観察に病みつきになり、電車に乗っていて暇をもてあますということは一切無くなりました。