海洋政策研究財団のニュースレターの最新号に、表記の投稿が掲載されていました。投稿者は国土交通省河川局砂防部保全課の方です。
6月10日の日記で宇野木早苗著「河川事業は海をどう変えたか」をご紹介しましたが、こういった地道な研究成果が徐々に現実の認識を進めていったのだろうと思います。
この投稿は、私が日頃考えていたことがコンパクトにまとまっていて、行政の方がここまで認識されていることを知って安心した部分もありました。全て書いてしまうとぱくりになりますので、当研究室を志す方に一番覚えておいてほしいことだけを引用させていただきます。最後にある「学術的な裏付け」を提示できるのは、陸水学だと思っています。
是非、全文をごらんになってください。
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これまで、土砂動態の把握や個別分野での対応策の検討が進んできたが、今後これらを応用して系全体として問題を解決しなければならない。個々の分野で効果的な対応策が、系全体で効率のいい方法になっているとは限らない。対策後の影響についてのチェックも必要であり、場合によってはその対策が必要となる。さらに、土砂の移動は生物の基礎環境を形成するとともに、土砂移動という物質の移動だけでなく、土砂移動という現象そのものが有する多様な機能もあり、現時点では土砂と生物・植物との関係では未解明な部分が多く残されている。ある程度の変動を許容し(見極め)ながら、対策を実施し、必要なモニタリング調査を行いつつ、その結果をフィードバックし、対策に微修正を加えていくことが現実的な手法である。単に行政的な決断だけでなく、発生している現象をしっかりとらえ継続的に取り組むため、学術的な裏付けも必要である。