吉田正人著「自然保護 その生態学と社会学」著者からのコメント

12月25日に表記の本の書評を書きましたが、これについて著者の吉田様からコメントをいただきました。特に「アメリカ合衆国生物多様性条約を締結していない」という事実の記載が抜けているとした点については私の見落としで、申し訳なかったです。アメリカの国立公園に関しては、膨大な面積を保護区にすることを一方的に賛美する意図はないとのことでした。

吉田様からのコメント
生物多様性条約に米国が未加盟であること及びその理由は、
p122に以下のように書いております。
「しかし、自国のバイオテクノロジー産業への影響を懸念する米国は、地球サミットにおいて生物多様性条約に調印せず、その後クリントン大統領時代に調印はしたものの、いまだに米議会で批准されていない.」

また米国の国立公園のくだりは、ネイティブアメリカンを排除して作られた米国の国立公園を賛美する意図で書いたつもりはありません。あくまでも、生態系の上位種である捕食者が安定的に生息できるほど日本の保護地域は広くはないという事実を書いたまでです。シカの個体数を管理するために、外国からオオカミを導入するという考えがありますが、(カナディアンロッキーと陸続きのイエローストーン国立公園とは異なり、大陸から日本列島にオオカミを導入するとなれば、外来種導入になるという問題だけではなく)、肉食の捕食者が安定的に生息できる保護地域の面積がなければ、今度は保護地域外に出てきた捕食者と人間との軋轢が発生することになると思います。