中国の強力な農薬使用と水環境

2001年11月、雲南省の撫仙湖に行きました。その昔、さだまさしが「はるかなる雲南」と歌った、桃源郷をイメージさせる雲南。さぞかし自然が豊かに残っているのだろうと楽しみにしていたのですが、目につくのはハゲ山ばかりでした。そして撫仙湖では食物連鎖を調べようと、動物プランクトンネットを何度も鉛直引きしたのですが、まったく何もかかりません。なぜだろうと思いつつ、翌日は湖岸に網が張られていたので、かかった魚をサンプルにわけてもらいました。魚の遺伝子を調べている学生さんに頼まれていたからなのですが、帰国してサンプルを送った際に、消化管に何が入っているかみておいてくださいとお願いしました。数日後、やはり動物プランクトンの残骸はなく、鱗粉など、陸上の昆虫類を食べている形跡があったとのことでした。
撫仙湖周辺は畑が多かったのですが、葉物の野菜に全く虫がついていなかったこと、また、魚が餌として落ちてくる昆虫に頼らざるを得ないほど動物プランクトンがいなかったことから、「もしかしたら、一時的かもしれないけど、毒性の強い農薬をまいたんじゃ。。。」とその時思いました。以来私は、中国産の食品は一切とらないことにしました。
その後数年前から、中国野菜の安全性に対して不信感が寄せられるようになり、先日の冷凍餃子問題で、その深刻さが浮き彫りになった形です。
今回あまりとりあげられていませんが、中国産の食品は、思いもよらない形で日本で流通しているかもしれません。
たとえば中国で採れた魚介類でも、一度日本の水域で飼育したら、それは国内産とされてしまいます(アサリが一時問題になりました)。雲南省のある湖沼周辺では、ワカサギだったかシラウオだったか、魚が天日干しされていて、日本に輸出すると言っていました。佃煮などになるのでしょうか。
こういうことを考えると、日本の食料自給率をあげることは、健康な暮らしを守るためにも不可欠だと思います。野菜などは地元でとれた安全なものを地元で消費すれば、輸入や国内輸送に伴って発生する二酸化炭素も減少します。そして何より、湖沼や内湾などの閉鎖的な水域に毒性物質が混入せず、適度な栄養物質によって豊かな漁獲を維持できるように流域を整備していくことが、人も生き物も健やかに生きていく、一石二鳥の最適な方策だと思います。