有機リン剤が20年後の日本にもたらしたこと

化学物質問題市民研究会のニュースレター「ピコ通信」の最新号(113号)に、同会が昨年12月に開催した講演会「有機リンの基礎-その毒性メカニズム-最新知見を含めて」の要旨が掲載されていました。講師は北里大学医学部名誉教授の石川 哲先生です。
その中で、先生が1970年時点で、有機リン剤の使用が続けば何が起こるかを予測した内容が書かれていました。
○近視性乱視が激増する(ちなみに日本では毎年報告されていた学童の視力の推移が、10 年前に突然発表中止になったそうです。なぜ?)
○小児を中心とする、神経・精神障害、跳び箱が飛べない、平衡を均等に保って丸太の棒を渡れない等が出る。
○小児の精神的機能が変化する。おとなしい、または自制心なく極端に暴れるなどの問題がおこる可能性がある。
○成人では網膜および視神経が障害される。とくに網膜変性が増加する可能性が強い(現在、米国では加齢性黄斑変性症が失明率のトップ、日本は2〜3 位なんだそうです)

なんだかゾッとします。特に小児が自制心なく暴れるという現象を家庭教育など社会の変化だけを原因としていて、本当に解決するんだろうか?と思います。


EUでは2007年にはREACH規制が発効し、厳しい化学物質規制が始まろうとしているそうです。これによると、ヨーロッパでは有機リン殺虫剤がほとんど使えなくなるのではないかと、先生は予想されています。

この「有機リンの基礎―その毒性メカニズム」の講演を記録したDVDが 1,000 円(送料込み)で販売されています。また岩波新書アルツハイマー病」の著者である黒田洋一郎先生の講演記録「脳の発達と化学物質/子どもの脳が危ない」
全2回文も各回(送料込み) 1,000 円、全2 回2,000 円で販売されているそうです。

お問い合わせは
化学物質問題市民研究会
〒136-0071 東京都江東区亀戸7-10-1 Z ビル4 階
TEL&FAX 03-5836-4358
ホームページ http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/
E-mail syasuma@tc4.so-net.ne.jp


追伸:「アルツハイマー病」で黒田先生は、ユダヤ人の夫婦との会話を引用されています。怪しいと思った時点でドイツから逃げ出したユダヤ人は助かった。まさか、そんなことはないだろうと思った者は、ガス室で殺された。。。


この号は、明日、私の部屋の扉に貼っておきます。