脳脊髄液減少症の学生さん

当専攻の学生さんが、私と同じ脳脊髄液減少症と診断されたと相談に来られました。聞けば頭痛、首の痛み、極度な疲労感、内臓のあちこちの痛みなどの身体症状とともに、物忘れがひどくて論文が読めないどころか、危うく無銭飲食しかけた、鬱になりやすいなど、研究者を目指す若い方には本当にお気の毒な状態でした。
幸い、専攻の学生さんたちもご家族も、本人の性格や努力不足などといった見方をしていないようでした。
交通事故など思い当たる物理的打撃はないそうですが、出産、尻もちなどでなる人もいますので、日常範囲の何かでなってしまったのかもしれません。
この後遺症の治療法であるブラッドパッチは副作用ゼロとは言えないけれど、成功すれば私くらいまでは回復できる可能性もある、とお話ししました。学生の間が一番自由に研究できると思いますので、貴重なこの時期、一日も早く回復してほしいと思います。
私の前の職場の産総研でも、まだ30代前半だったと思いますが、交通事故でこの後遺症になり、たびたび寝た切りになり何年も職場復帰できないでいる方がいて、時々メールで問い合わせがくることがあります。
私がこの後遺症であることを公開しているので、このようにご相談を受け、身近に患者さんがいることが分かるのですが、そうでなければ、本当は多くの患者がいるかもしれない実態が分かりにくいだろうと思います。
今、この後遺症の治療をしたこともない医師を多く委員にして作られている、厚生省委員会のガイドラインが実態に合わない非合理なものになってしまったら、日本ではどのくらい脳脊髄液症候群の患者がいるのかという極めて重要かつ必要なデータさえ、おかしなものになってしまいます。全然、科学じゃないですね。