バイカル湖の古環境とレアメタルを産むカビ

3月15日のNHKサイエンスゼロ」に、静岡県立大学谷幸則先生が登場。谷先生とは、シベリアのバイカル湖で行われた国際学会でお会いしました。コア堆積物中の植物色素を分析することにより、数万年におよぶ古環境解析をされていました。そのご縁で、宍道湖のピコ植物プランクトンを研究いただけないか、お願いしている最中です。
ところが、この日の「サイエンスゼロ」の予告タイトルは「都市鉱山を生物パワーで掘り起こせ」、そして、順番からすると、「ある種のカビは、レアメタルのひとつ、マンガンを体内に取り込み、酸化物に変えて細胞の表面に析出させる。さらにそのマンガン酸化物に他のレアメタルを効率よく吸着させる能力がある。」が谷先生の出番になっていました。バイカル湖レアメタル、一体どういう関係?
番組では谷先生が、どこにでもありそうな黒い付着物がついた石を川から拾ってきて、その付着物を寒天培地で育てていました。それが、上記「ある種のカビ」。そのカビはマンガンを吸着するだけでなく、吸着したマンガンに、さらにニッケルなど4種類ものレアメタルがトラップされて濃縮するんだそうです。
そう言えば谷先生は、理学部化学科で学位を取られて、なぜかその後、バイカル湖国際プロジェクト(業界ではBICERと呼ばれています)で活躍。地学の私にはその印象しかないのですが、化学をベースに、いろんなことに挑戦できるんですね。化学分析と生物の培養・実験が気軽にできるラボの光景に、ちょっと羨ましく思いました(陸水研も、他の先生方のご支援もいただいて、複数のディシプリンに気軽に取り組める環境になりますように!)。