大学に残らなくったって

25日は地学関係合同学会の、男女共同参画関係の会合に出席しました。終了後の懇親会で、アメリカに長くおられた先生が、「日本では博士課程まで行くと、アカデミズムに残ることしか選択肢を考えないのが問題ではないか。アメリカでは民間企業などの全く違う分野に行っても、何らかの形で自分が学んだこと、研究してきたことを社会貢献する道を選んでいる」と話されていました。全く同感でした。
私は文科III類から理学部に進学し、文IIIの同期とは今でも年2回ほど同窓会があります。ロシア語というマイナーなクラスはもともと全13人と少なかった上に、5月から1人出てこなくなって12人。そのうち私を含めて大学の教員が4名と、これが職業としては一番多いです。他は美術館の学芸員、マスコミ、広告代理店、大型機械製作メーカー、塾経営、専業主夫など全く重なるものはありません。
そしてそのうち2名の同期が、仕事の経験をいかして大学で非常勤講師をしていたり、趣味を極めて専門雑誌に寄稿していたりなど、アカデミズムにも貢献しているのがすごいと思います。大学に残ることだけが、知的好奇心を満たし、アカデミズムに貢献する道ではないと言う例です。
冒頭でご紹介した先生曰く「だいたい、大学で教授になったって、それほど豪華な人生じゃないじゃない?それで人生本当に満足か考えてみなさいって、私の学生には毎日のように言ってます。」
「定員の充足率という考え方も問題ですよね。合う学生ばかりがいるわけじゃないんだし、定員を満たすために合わないような学生を採って、いつまでも就職できないなんて、馬鹿げてますよ。」
私も、なかなか学位を取れず、とっても就職が見つからない学生さん達を1年間見てきました。それで、博士への進学を考えている学生さんには、人生設計をきちんと考えた上で来て欲しいと思うようになりました。
最近、理系の人生設計をどう考えればいいか、とても参考になる本を読みましたので、近いうちに紹介しようと思います。


追伸:こういう議論は、かつてDr. Jasonと何度かしていて、彼からきっと一言あるだろうなと思っていたのですが、間抜けなことに、彼がこの件で書いた記事を紹介するのを忘れていました。いろいろこだわりのある方ですが、この問題へのこだわりは結構なものがあります。。。

http://blog.goo.ne.jp/jason_suzuki/e/ad2bf953bd9c859d1e380d8ae332fe5b

http://blog.goo.ne.jp/jason_suzuki/e/aeab63de61d6ca8c486bd96f773835e1