水草研究会第30回全国集会

千葉県立中央博物館で開催された、水草研究会第30回全国集会に参加しました。研究会と言っても会員数400人ということですから、ちょっとした学会並です。午後いっぱいかけて11編の報告がありました(そのうちのひとつは、うちのM2のI君による、ブラックバスの駆除がアメリカザリガニ水草に与える影響に関する発表でした)。

2編が外来種の侵入に関する報告でした。ひとつは九州におけるブラジルチドメグサ、もうひとつは琵琶湖におけるミズヒマワリ。両種ともアクアリウムプランツとして日本に導入されたものが野外に出てしまったようです。どちらも浮葉植物なので、水面を覆って水中を貧酸素化させるという問題があります(と当たり前に報告されているのに、いまだにアサザを植えると水質がよくなるという「神話」がネットでまかり通っているのはなぜでしょう?)。ブラジルチドメグサは茎の断片、ミズヒマワリは葉の断片から容易に増えるので、急激に繁茂域を拡大できます。そして水路など、人工的に作られた止水域に大繁殖します。

懇親会で土木出身の先生が、「本来あるべき洪水量を流してやれば、こういうタイプの草は容易に除去できるはず」と言われていました。河川地形の観点からも全くその通りなのですが、問題は、それを行政や市民の方に理解いただけるかだと思いました。

琵琶湖産ネジレモの種子を用いた発芽実験の報告も、興味深いものでした。未処理だと5%にも満たない発芽率が、4℃条件で5週間以上処理すると、発芽率は60%以上になります。ただし発芽率は20℃以上で80%を超えるのですが、現実の琵琶湖ではそれよりも低い水温で発芽します。4℃条件という処理は、現場で水草を繁茂させる上では、発芽時期を遅らせてしまう危険もあるのかなと思いました。

各種水草を育てていた水槽の水を濾過した水でミジンコの卵を孵化させたところ、孵化率を上げる植物と下げる植物があるという発表も面白かったです。上げるのはガシャモク、インバモ、センニンモ。下げるのはタヌキモ。タヌキモはご存じのように食虫植物ですから、ミジンコにとっては大敵です。「こいつがいるぞ、今、孵化するとやばいぞ。」と、水の中の化学物質を殻を通じてミジンコは感じているのでしょうか?