別世界

D4のT君、学位論文の追い込みで、ここ3日間はほとんど寝ないで分析していたようです。今日、相談に来たときそれがアリアリ分かる表情をしていたのですが、大丈夫か確認したら「昨夜はリフレッシュできました」と、多分、数時間しか寝てないのに、ちょっと休めればそう思えるんですね。

私もD論の時は、今から考えるとよくあんな無茶をしたと思うような、フィールドや分析をしていました。それで自分の学生が無理をすると余計に、あんな馬鹿なことだけはしないでほしい(事故らなかったのが奇跡!)と気になるのでしょう。

D論の構成について1時間前後(もっとだったかな?)、散々議論した後、日中大部分を学生さんの研究の相談にあてたので、残りの時間は全て単純な事務作業。その間談話室では、T君が秘書さんや同期達との歓談で盛り上がってました。かつて学生だった私が徹夜明けの分析のあと、そのままペースダウンしないでデータ解析に持っていく為のリフレッシュメント効果を狙って技官さん達(2名の女性)とおしゃべりに興じていたように。

東大という、かつては自分がいた所に戻ってきたからなおさら、今いる所は別世界なんだと自覚できました。戻ったら、あのころやり残したこともできるみたいな幻想が潜在意識にあったようですが、それはありえない。

老眼にもなったし、50代になるという現実を意識して人生設計しないといけない。人生、戻るということはあり得ないのだと、別世界にいるT君を見ていて思いました。彼と研究の話だけしていた今までは気づきませんでしたが。