リユースは元から安全でなきゃ −中古ボール再利用問題が提起すること

ピコ通信」の最新号で、1月15日の毎日新聞に「健康被害:小・中学校の教室で広がる中古ボール再利用 微量の化学物質放散」という記事が掲載されていたことを知りました。以下、概略です。
中古のテニスボールを教室の机や椅子の脚のカバーにする再利用方法が、全国の小・中学校に広がっているそうです。うるさい音がしなくなり、床も傷つかず、ごみとして捨てられるボールも減る。良いことずくめ。
ところが、宇都宮市内の小学校で07年秋、再利用を始めて数日後に小学4年生の男児が発熱。せきや鼻血も出て、その後3週間にわたり低体温の状態が続きました。男児の母親が、切り込みを入れた際にかいだ臭いから、原因は中古ボールと判断。母親から相談を受けた学校は、4カ月後、中古ボールをすべての教室から撤去したそうです。
東京大学の柳沢幸雄教授(東大新領域環境系の先生です!)にリユース予定の中古ボールを測定してもらったところ、アセトアルデヒド、アセトン、ベンゼン、シクロヘキセン、シクロヘキサノンなどの有害な揮発性有機化合物の放散が確認されました。脚にはめ込む切り込みを入れると、放散量は増大しました。製造時にボールの内部に封印された物質が出てきたと考えられる
そうです。柳沢教授は「健常な子なら問題がないが、敏感な子供には耐え難い環境になっている可能性がある。原則的にやめるべきだと思うが、導入する場合でも、子供の体調に十分注意を払う必要がある」と訴えているそうです。

この記事に対して、300万個の中古ボールを学校に寄付した実績のあるNPO「グローバル・スポーツ・アライアンス(GSA)」(本部・東京)は、
毎日新聞「中古ボールで健康被害」の報道に関して
健康被害への注意を喚起するとともに、
「製造メーカー様に対しましては、身体に対する危害がまったく無い、有害な化学物質を使用することなくより安全基準を満たすことの出来るテニスボールを製造して頂く提案を、以降は積極的に行なっていく所存でございます。」としていました。

なお「ピコ通信」最新号では1月6日付記事でご紹介した「化学物質過敏症でも障害年金を受けられます」に関連して、社会保険労務士 青木久馬氏による「化学物質過敏症と診断書と障害年金」も掲載されています。症状が強くて仕事もできない状態の方にはご参考になるかもしれません。