研究室選択指針

東大海洋研&理学部地理の後輩、そして共通の指導教員だったK先生との3人の間で、久々にメールのやりとりがありました。その中で後輩が「先生から『年齢-25才の筆頭での査読付き原著論文数を維持し続ければ、研究者として生きていける可能性が高い』とはっぱをかけられた記憶があります。」と書いていました。
私が学生のときのK先生は「あなたはどうしてそんなに書くのが遅いんだろうねぇ」「だって実験が続いていて、書く時間とれません(実際、オートサンプラーのないCHNコーダーで人間サンプラーを24時間なんてことやってました)」「バカだね、あなた。論文なんて実験しながら頭の中で書くんだよ」
K先生と過ごした4年間は「バカ」と言われる頻度が生涯で一番多かったんじゃないかと今でも思っていて(100回以上言われたかもしれない)、指導の仕方が全然違うじゃん!と、苦笑いしてしまいました。
それはさておき、少なくとも水環境に関する理学(工学ではない)で研究者を目指す以上、26歳(=D1かD2?)のときに査読付き原著論文(Limnology・Oceanography分野では当然、英語です)が1本無くては、研究者として生きていける可能性さえないと思った方がよいということです。その為には、指導する教員も「年齢−25歳」の本数があることが不可欠でしょう。指導教員が書けないのに、学生が書けるようになるわけがない。
2月23日記事で紹介した「高学歴ワーキングプア」という本に、博士号取得後に研究者として残るのがいかに厳しいかが書かれています。博士課程まで進学を考えている学生さんは、その研究室で研究者としての業績を積めるのかという観点から、研究室を選ぶようにしてください。
因みに私は37歳で交通事故に遭って脳脊髄液減少症になり、徐々に英語が書けなくなって、2006年以降はIF付英文誌の筆頭ゼロです。現在の査読付き原著論文数(英文)は「年齢−25歳」だと、査読付英文プロシーディングをいれるかいれないかで赤〜黒をさまようという、情けない状態です。43歳から47歳まで3回手術をしてこれ以上の悪化はないだろうと思えるようになりましたし、先日ようやく筆頭が受理になったので、今年度は大幅黒字目指して頑張ってみます。