脳細胞を生き残らせるもの

脳脊髄液減少症について、日本で一番患者を診ておられる篠永先生は、この後遺症でどのような症状があらわれるかについて大きく5つに分けています。
http://atami.iuhw.ac.jp/shinryou/nogeka/gensyo1.html
そのひとつである高次脳機能障害については、こう書かれています。
「第四に高次脳機能障害があります。脳挫傷の後遺症としての高次脳機能障害ほど症状は強くないのですが、仕事や家庭生活を営むうえで大変不自由します。記憶障害の特徴はなにげなく話をした内容をわすれてしまうとか読んだ本の内容を覚えられないので読書ができないとか、忘れ物が多くなるなどです。ひどくなるとメモを取るまもなく数秒前のことを忘れてしまうこともあります。このほかに思考力、集中力が極度に低下してスムーズに仕事ができなくなることがあります。いつも頭がボーとしてもやがかかっているようだと訴えます、うつや無気力もよく見られる症状です。精神科や心療内科で治療を受けている患者さんがたくさんおられます。髄液が減少すると脳の機能とくに海馬や脳梁の機能が落ちるのだろうと推測しています。」
これに関連して、最近読んだ本の中にこんな論文がありました。
「鍛えるほど頭はよくなる 新生ニューロンを生かすには」
それによると、海馬は特に学習と記憶にかかわる部分で、ここで毎日数千個もの神経細胞が新たに作られているそうです。その神経細胞は何もしないと死んでしまいますが、高度な学習(=簡単にできる学習ではダメ)を継続すると、個体が老齢化していても生き残るのだそうです。また、齧歯類を使った実験では、ニューロン発生は運動、抗うつ薬、ブルーベリー(!)によって促され、アルコール、ニコチンによって阻害されるそうです。
脳脊髄液減少症高次脳機能障害がある方は、なので、調子が悪いとき、特に心理的に落ち込んでいるときには我慢しないで抗うつ薬を処方してもらい、気分を明るくしてお散歩にでもでかけると回復しやすいかもしれません。
でも何でブルーベリーなんでしょうね。時間ができたら原著読んで、これを引用しているその後の研究も読んでみようかな。