NHK クローズアップ現代 7/30 放映「松があぶない」は「空散で人と生き物があぶない」ではないのか

化学物質問題市民研究会のニュースレター「ピコ通信」第132 号に、このブログでも案内した、NHK クローズアップ現代 7/30 放映「松があぶない」に関する批判が掲載されていました。以下、概要です。

・「ひじょうに効果が高いと言われている空散」と番組中で3 度も言い、そのことを鵜呑みにして検証していない。空散が松枯れを防止できないことは、これまでの長年の実績で証明されているはず。

・松枯れの原因について、マツノザイセンチュウ説のみを取り上げている。他にも病菌説、大気汚染説、乱開発説、生態遷移説、センチュウ地中伝播説などの原因説があって、いくつかの原因が重なって起きていると考えるのが自然である。

・空散による健康被害については、目が痛い、のどが痛いなどの軽い症状を簡単に紹介するだけで、有機リン等によるめまい、視野狭窄、頭痛、鼻血、吐き気などのもっと深刻な症状、さらには、化学物質過敏症の発症者には生命があぶない事態が起きているのに、報告していない。その結果、一般視聴者は、これくらいの被害なら、気をつけて散布すればいいのではないかと思ってしまう恐れがある。

・松林を守るのは自明の理として、その必要性について検証していない。松は、元来痩せて乾燥し日当たりの良い土地を好む。昔は落葉落木を肥料・燃料として利用していたので松に適した環境であったが、現在では利用されなくなり、林地は肥沃化し地表付近への日当たりも悪くなってきている。つまり、生育環境が松に合わなくなってきている。

・土砂崩れの原因が松枯れであるかのように報告している。枯れた松木を取り除き、別の木を植えるなどの対策を怠ったのが、真の原因であるはず。

そして、全体として下記の構造があるのではないかと指摘しています。

松が枯れている→大変だ、何とかしなくては→農薬空散は効果がある→住民の健康被害もある→他の代替法もお金がかかったり、時間がかかるなど、決め手を欠く

「だから空散を、安全な方法ですればいいのではないか」と視聴者は思ってしまうのではないか。そうではなく、空散によって健康・生命を脅かされている人たちのことをきちんと報道して、。「空散で人と生態系が危ない」という視点から報道してほしいとしています。


(追伸)ピコ通信、いつものように私の部屋の扉に貼っておきます。