会誌「みず」から

日本水環境学会には「身近な生活環境研究委員会」という会があって、毎年「みず」という会誌を発行しています。
8月21日発行の会誌は、いろいろ面白い記事がありました。
巻頭では、新型インフルエンザに関して、水の実務から備えるべきことを指摘していました。
上水道・下水道などの基幹インフラは、感染流行時にどうやって機能を維持するか等にについて十分な対策の検討が必要。担当者が誰も出勤できず、薬剤の供給もできなくなったときにどうするかまで考えて対策を立てておく必要があるのではないか」
続いて、釧路市上下水道部の方による「釧路湿原と水道水」。この地域では適当な地下水もなく、水道水源になるのは釧路川だけ。釧路川が流れる釧路湿原の大部分を占める標茶町は町民より乳牛が多いことで有名な牧畜地帯。ここででてくる牛の糞尿は、堆肥にしようにも年間平均気温6℃なので、本州方面の3倍以上の期間寝かせねばならない。広い土地に寝かせた糞尿は晩秋にはそのまま凍り、翌春に融雪水とともに川に流れ出し、「強い糞尿集+高濃度有機物+アンモニア+高濁度+低水温」で浄水場は大忙しになるそうです。また牛の糞尿水にはクリプトスポリジウムが大量に混ざっていて、これを死滅させるための薬品の注入率も、ころころ変わる原水の濁度やpHに合わせて変えねばならないとのこと。
ブルネイでパックテストを使って水質について講演した体験を紹介した記事も面白かったです。三重県程度の大きさに36万人が暮らす国。石油や天然ガスなどの地下資源に恵まれているため、アジアでは有数の大金持ちの国とは知っていましたが、「税金なし、教育費・医療費も無料、台風は来ない、年間を通じて最低気温24℃で最高気温は30℃、国民の70%は公務員でのんびりと暮らしている」魔夜みねおの「パタリロ」の「常春の国マリネラ」って、これを参考にしたのかしらと思いました。