厄介者のモクがブランド商品に変身

島根県の知人が、下記の9月10日付け山陰中央新報記事を送ってくれました。水草が繁茂してその処置に困っている琵琶湖でも、何か有効利用ができるようになるといいですね。

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島根県隠岐の島町で、沿岸に自生し未利用だった海藻「アカモク」の特産化を目指す取り組みが進んでいる。ミネラルなど栄養素を豊富に含むアカモクは、消費者の健康志向を追い風に、食材として全国的に注目されており、隠岐のプランド戦略も本格化している。
アカモクホンダワラ科の1年生海藻で、ギザギザした形状の葉が特徴。日本各地の沿岸に分布し、高さ5m以上に達するものもあるという。
東北、北陸地方では食べる習慣があり、独特のぬめりとしゃきしゃきとした食感が特徴。ゆでてポン酢をかけたり、みそ汁や雑炊、めん類の具にして食べる。だだ、隠岐では食べる習慣がなく、むしろ船のスクリューに絡むことなどから厄介者扱いされていた。
ところが近年、アカモクに各種ミネラルやポリフェノールのほか、抗がん作用があるとされるフコイダンが含まれていることが分かり、都会地で徐々に流通。この動きに注目した地元漁業者や水産関係者などが3年前、町の支援を受けて特産化に向けた検討を始めた。
調査の結果、隠岐アカモクは柔らかくてクセがなく、全国的にも最高品質であることが分かった。高齢化が進む漁業者にも病近場で収穫でき、漁労負荷が少ない上、所得アップにもなる」(井川善寿・町水産振興室長)などの利点がある。
メンバーは、保存期闇が長く輸送コスト軽減ができる乾燥品の商品化を目指すことを決定。2007年11月に任意団体「隠岐海産物加工センター」(砂本清一代衷)を立ち上げ、製品化に本格着手した。アカモクの収穫時期は1〜4月上旬。同センターは漁業者から1キロ50円で買い取り、町所有の水産加工施設を借り製造。品質の高さを生かし、アカモクの柔らかい部分のみを使い、手作業で入念に洗浄後、風味が落ちないようすぐに乾燥させて仕上げるようにした。
初出荷の08年は、1袋(10グラム入り)367円で約3千袋を販売。出荷先は島内の土産物店申心だったが、生協などからも引き合いがあり、完売に成功し「手応えをつかんだ」(砂本代表)。09年は5千袋を製造し、ホテルや飲食店向けに業務用のボイル商品800袋(1キロ入り)も出荷している。
同センターの安部和人さん(47)が「市場はまだまだ大きくなるが、生産量を増やすには設備増強が不可欠」と指摘すように、事業拡大をにらみ、同センターの法人化も図っていく方針だ。
魚価低迷や漁業者の高齢化など水産業をとりまく経営環境は厳しいが、砂本代表は「アカモク隠岐の特産品に育て、地域活性化につなげたい」と力を込め、仲間たちとブランド化への努力を続けている。