窒素研究放談会

1月8日(金)はC大のS先生のところで、T大・K先生が幹事役で「窒素研究放談会」が開かれました。2年前に産総研で同様の会が開かれたときは20名程度だったと思うのですが、今回は60名もの参加でした。発表者の年齢層が学部生からPD、中堅、私のようなロートル世代と幅広かっただけでなく、内容も各態窒素の15N 分析法の紹介だったり、湖沼での窒素動態、水田や大豆畑でのN2O発生、バイオフィルムの形態と脱窒の関係、大気および植物蒸散起源アンモニアなど、窒素をキーワードに地球化学・陸水学・微生物生態学・大気化学など多くの分野からの話題提供がありました。
懇親会では、この機会にと、あまりに基本的すぎて普段質問できなかったことを尋ねてみました。たとえばN2Oが発生しているときには、同時にN2も発生しているはずなのですがフラックスはN2Oしか発表されないので、トータルでどれくらい脱窒しているのか聞いていて分かりません。この方面では、N2O:N2がだいたいいくらという、例えば海やってたら絶対知ってなきゃいけないレッドフィールド比みたいな常識があって、聞いている人はだから全体量は分かっているのかな、とこれまで思っていたのですが、思い切って「その比ってどれくらいなのですか」と質問したら、それは分かっていないのだそうです。「本当はN2も測らないといけないのだが、バックグラウンドが大きいので分析が困難なので」なんだ、そうだったんだぁ。
森林土壌の脱窒を測定している人が液相で分析しているのも気になっていて、脱窒ってべちゃべちゃの土壌でなくてもやってるんじゃないかと思っていたら、畑の脱窒を調べている人は泥をそのままバイアルにいれて測ってました。「なのにどうして森林土壌は液相にいれるのですか」と尋ねたら、そうしないと活性が出ないし、実際、森林では湛水して還元的になったときしか脱窒しないからということでした。でも、湛水する期間は乾き気味の期間よりずっと少ないと考えられますので、微弱な脱窒でも年間を通したら、晴天時にでてくる量も結構あるんじゃないかと考えたりしました。
主催者のS先生が「こういう横に広がるような会で、学会で発表する前段階くらいの考えをみんなで議論するような場があってもいいと思う」と言われていました。本当に、年に1度くらいはこういう会で目から鱗体験ができれば楽しいです。
K先生、S先生、ありがとうございました。