サンゴを編む

「来年のLOICZの科学委員会はオーストラリアの西側にしない?ハメリンプールのストロマトライトなんて、いつかは必ず見たいでしょう?」「そうそう、シアノバクテリアだもんね。私、アオコ問題で文句言う人にはついつい『誰のおかげであなたが酸素を吸ってられるのかよく考えると、そうそう邪険にするものではないわ』て言ってしまうのよ」「それもあるし、彼らは窒素固定するところがすごいよねぇ。サンゴ礁って、オダムなんかは栄養塩をぐるぐる回しにしてて新生産はないって言ってたけど、そんなはずないと思って。だってグアノとかリンを系外にエクスポートしてるでしょう?としたら窒素はどっかから新規に来ているはずで、それは窒素固定じゃないかと思ってサンゴ礁生態系の一次生産者の同位体測ったら、案の定だった。サンゴ礁って、至る所にラン藻いるし。あれ(下記文献)がサンゴ礁で窒素同位体比を最初に測った論文で、その割には引用回数50未満で、何か無視されちゃってるなぁ、て不満。」「ということはサンゴ礁はネットで二酸化炭素のシンクなの?」「そう思う。だとしたらその有機物はどうなっているかも考えていて、たぶん、石油になっているんじゃないかな。中東の油田について、炭酸塩岩根源岩説と炭酸塩岩貯留岩説があるけど、私は前者だと思う」「面白いわね。そうそう、サンゴで思い出した。TED TALKって、仕事に疲れたときに時々見ているサイトがあるんだけど、そこで毛糸でサンゴを編むことで数学的な証明をする、ていうビデオがあるわよ。オスロに戻ったらリンク送るわね。」
なんて感じで、LOICZ議長のAlice Newton博士と話していると、話がとぎれることがない。フランスの学会で彼女と他のLOICZメンバーと4人で食事したときは、6時半から始めて、そろそろ帰ろうと思ったときはもう0時半でした。彼女の博識には、会う度に驚かされます。

Title: CARBON AND NITROGEN STABLE ISOTOPES OF PRIMARY PRODUCERS IN CORAL-REEF ECOSYSTEMS
Author(s): YAMAMURO, M; KAYANNE, H; MINAGAWA, M
Source: LIMNOLOGY AND OCEANOGRAPHY Volume: 40 Issue: 3 Pages: 617-621 Published: MAY 1995