「薬物運転」による交通事故が起こる?

精神科治療学 24(12);1534−1535,2009に、「向精神薬の添付文書における自動車の運転等についての記載は修正すべき」との提言がありました。
抗精神病薬抗うつ薬,抗けいれん薬,抗不安薬ドパミン受容体作動薬などの薬物は本来の目的である統合失調症うつ病てんかんパーキンソン病など以外にもむずむず脚症候群,慢性病,不眠にも用いられていて、そのためにこれらの薬物を使用している患者の数は膨大なんだそうです。そしてこれらの薬物の内服中には、自動車を運転してはならないことが添付文書に記載されているそうです。
ここで著者は、多くの医師がそれに気がついている一方で,矛盾を抱えたままそれらの薬物を処方していると記しています。著者がいう「矛盾」とは、薬に添付されている現状の記載だと、医師の方で、患者が自動車を運転しないことを確認してから薬物を処方すること,また自動車を運転する患者にはその薬物を処方してはならないことになってしまっている現状です。具体的には「眠気,注意力・集中力・反射運動能力等の低下が起こることがあるので,本剤投与中の患者には.自動車の運転等危険を伴う機械の操作に従事させないよう注意すること。」という記載です。
筆者は、このような曖昧な記載ではなく、本当に自動車を運転させてはならないのであれば
「自動車の運転等危険を伴う機械の操作に従事させてはならない。」という表現にすべきであり、注意すれば自動車の運転をしても構わないのならば、
「眠気,めまい等があらわれることがあるので,自動車の運転等危険を伴う機械を操作する際には注意させること。」にすべきとしています。もっともだと思います。