名前を言えば子供でも知ってそうな超一流企業で排水処理システムのエンジニアリングを担当している方から、会社を辞めて、陸水研の博士課程に進学したいとご相談に来られました。修論ではモデルによって某湖の富栄養化対策を検討したそうです。就職して4年、そろそろ管理職っぽい仕事が増え、現場での設計より営業の数字を眺める時間が増えてきたそうです。こんなことをしていて本当に水環境を守れるのか。自分の一生はそれでいいのか。
そう考えて、現実に水環境で何が起こっているかを陸水研で研究することを通じて理解し、再就職先は現在勤めている会社の下請けをしている水環境の現場に近いところにして、真に水環境を守る仕事をしていきたい、とのことでした。
日頃、このブログに書いている趣旨からは大歓迎なのですが、この就職難の時代に本当にそれでよいのか、何度も確認しました。当専攻は社会人入学もあり、単位や演習の出席日数などを配慮できますよとお伝えしたのですが、やるからには全力で取り組みたい、会社にいては、チームに迷惑をかけることはできないので、仕事の方が優先にならざるを得ない。またどんな企業に行っても管理職にまで進まなければ給料が低いことは分かっているが、自分は給料より生き甲斐を優先したい、とのことでした。
大学教員であるということは、こんなに重い決断にも関わっていくことなんですね。