英語論文はまず日本語で

博士課程進学を考えているM2は、そろそろ国際誌投稿論文書こうかな、と考え始める頃だと思います。英語での論文執筆、いきなり英語で書くべきとするハウツー本を見た記憶がありますが、私はまず「きちんとした日本語」の論文を書いて、それを翻訳することをお勧めします。翻訳の際には、気に入って取っておいた既報の文章をコピペする等いくつかのワザがありますが、それが継ぎ接ぎにならないためにも、最初の英文投稿論文はまず日本語で書くべきです。
たとえば
Such variation was explained with wind system and geographical setting.
アブストに書いたとします。書いた本人は頭の中にgeographical settingのイメージがあるので、本文を書いて、要旨を書いて、やっと終わった〜〜〜!という満足感が先立ってしまいます。2,3日経って他人の目で見直したとしても、文法的に初歩的に間違っているわけではないので、たぶん見過ごします。でもこれが日本語で
「このような相違は風系と地形的セッティングで説明できた」と日本語で書いてあったら「おや、『地形的セッティング』って日本語あったっけ?」と自分の使った言葉の曖昧さに気づく可能性大です。
自分が発見したことがオリジナルであればあるほど、相手はそれをイメージすることが難しくなります(だって、それまで誰も知らないことなのですから)。その内容を自分の脳の中でイメージしていることとできるだけ近いものが相手の脳にイメージされるように伝えるには、既に意味が確定している言葉を組み合わせ、定量的なデータとそれを視覚的にわかりやすく伝える図表を作り、それらを使用して論理的な推論を展開することです。これをいきなり、英語でできますか?「意味が確定している言葉」を使う時点で、英語で始めるとボキャ貧になりませんか?