防蟻剤に人が暴露するナンセンス

化学物質問題市民研究会のニュースレター「ピコ通信」141号に「シロアリ防除処理と住環境の農薬汚染」と題した記事がありました。
日本の伝統的な住宅は、束石(つかいし)にのせられた束柱で木構造を支えるもので、床は高くて風通しがよく、木材は良く乾燥していたため蟻害や腐れの心配はなかったそうです。しかし台風や地震などの横からの力に弱かったので、1950 年に制定された日本初の建築基準法はコンクリートの布基礎に土台をボルトで固定する現在の様式を義務付け、床下は閉鎖的になりましたました。この時、湿気対策まで考えが及ばなかった結果、1970 年代には床下の木質部材の腐朽、蟻害が社会問題となったのだそうです。従来ほとんど存在しなかったシロアリ駆除会社が雨後の筍のように生まれたのもこの頃で、短期間に3000〜4000 の会社が設立されたようです。
問題は日本式のシロアリ対策です。アメリカでは盛土に殺蟻剤を散布し、防水シートで覆い、コンクリートで薬剤を封じこめ、生活空間に侵入しないよう配慮されていますが、日本では、合成殺虫剤は安全な化学物質として扱われ床下に散布され、外壁構造材の処理にも使われています。従って住宅内部まで防蟻剤に使われている化学物質が侵入してしまいます。アメリカでは住宅内部に侵入する可能性が高い外壁構造材の処理には、合成化学物質ではなくホウ酸を使うそうです。
もともと食べ物や飲み物には気を遣っていた私が、室内空気にも用心するようになったのは、防蟻剤がきっかけでした。新築の家に当時1歳だった娘が入った途端、顔中発疹が出てしまいました。この経験があったので、現在住んでいる家は防蟻剤は木酢など、合成殺虫剤は一切使わないで仕上げてもらいました。以来、防蟻剤については不信感を持っていました。
この記事を読んで、ますますその感を強くしました。