宍道湖で漁獲激減

昨日の記事を読んだ島根県の知人が、宍道湖の最近の漁獲状況を教えてくれました。シジミ、ワカサギ、マハゼ、エビ。漁獲が激減しています(写真)。

塩分は変わっていません。湖岸植生も、漁獲が最盛期のときからほとんど変わっていません。宍道湖は湖岸のほとんどに植生はありません。むしろ最近はヨシを竹ポットにいれて植栽するなどの改変が行われています(だから漁獲が減ったという意味ではもちろんありません)。
霞ヶ浦に塩分をいれさえすれば漁獲が復活するというアサザプロジェクトのご提案は、このような現実があるので、本当にそううまくいくのかなぁ?と思ってしまうのです。
ところで、私が最近あんまりアサザプロジェクト批判ばかり書いているので、その知人から「もっとやることあるんじゃないか」と注意されました。確かに、7月19日付記事で紹介した地方の環境研究所の危機について、自分は何ができるかもっと検討するとか、他にもやらなければならないことはたくさんあります。でも湖岸を改変してまで浮葉植物を大量に植栽することが自然再生につながるとする考え方に対しては、専門の立場から質すべきことは質す必要があると思うのです。
多様なニーズのある湖沼でどのように最適化を図っていくか、それぞれの分野でそれぞれの専門家が、学生の頃から積み上げた考え方や技術を駆使して検討を重ねています。それば横断的な施策に広がりにくいのは事実ですが、だからといって、科学的には疑問が残る自然改変を、市民運動だから科学的根拠がなくても推進してよい、その功罪は検討されないでよいとはならないと思うのです。
少なくとも霞ヶ浦におけるアサザの植栽については、その功罪を水環境の研究者として検討していきたいと思っています。