先手を打つ

東京大学には、女子学生だけの同窓会「さつき会」があります。この会から年1回届く会誌「たより」には会主催講演会の記録があり、いつも楽しみにしています。
今回の講演は、UNESCO人事局長、UNIDO事務局次長、在モロッコ特命全権大使を歴任された広瀬晴子氏でした。
国際機関での長年のご経験から様々に示唆に飛ぶお話をされているのですが、これは国際社会だけでなく日本でもそうだと思ったのが、「先手を打つ」ことの重要性。
日本では「先生の言うことをよく聞きなさい」と教育されることもあり、一歩出遅れることが多かった。先手を打てば容易に通ることが、先手を取られてからでは挽回するのは大変、とあります。まさにその通りだと思います。
広瀬氏は更に、こう指摘しています。「相手の話を聞くことも悪いことではなく、自分のことばかり言う人が多い中で、相手の意見も聞いて要所でビシっと言えると、それはそれで一目置かれるようになる。そのためには、何か得手をつくらないと。」
学生さんに「これだけは世界一と自負できるものを持ちなさい」と指導しているのと通じるものがあると思いました。

追伸:
「たより」には会員からの100字以内通信欄もあり、これもまた楽しみの一つ。先輩方の便りは、あと10年後はこんなことが問題になるんだなぁと、とても参考になります。80歳前後の方々からの「左半身マヒの身障者となったが、短歌と読書を趣味にしている」「源氏物語の原典を最後まで読み切るという念願を果たした」などの便りを見ていると、すごく励まされる気がします。