アラル海が面白い!

昨日(11月26日)は客員教授としてロシアから来ていただいているクリボノゴフ先生から、アラル海の水位変動に関する特別講義をしていただきました。
クリボノゴフ先生は、自作のコアラーを大型車に乗せ、シベリアのノボシビルスクから5日かけてアラル海に行き、2日かけてコアを掘って帰るという研究を何年も続けています。その結果、下記の発見をしてこられました。
発見その1は、上流域での取水が原因で1960年代の4分の1に縮小したアラル海の湖底から、過去2回に渡って栄えた都市遺跡がでてきたこと。しかもこれらの遺跡からは、米作による定住生活が営まれていたことが分かってきたそうです。
発見その2は、アラル海は固有種も含む多様な生物が生息していたことで知られるのですが、その形成はせいぜい2万年前以降であるらしいこと。さらには形成から現在までに、現在の縮小と同程度の縮小が5回あったらしいことが分かってきたことです。
上記の結果はアリゾナ大学の共同研究者に年代を測ってもらい、粒度分析などから推定しています。化学分析や微化石の分析を行えば、さらに面白い発見があるのではと期待されていて、「マスミ、同位体測らない?」と誘われました。バルクの炭素・窒素安定同位体比以外にも、いろんな分析でいろんなことが研究できそうです。