陸水研ではどんな研究ができるか?

今日は東大秩父演習林で報告会があり、当研究室からも修士1年2名が成果発表に行っています。さきほど連絡があり、好評だったとのことでした。
当研究室は東大秩父演習林に、あと8年間、何をしてもよい区画をお借りしています。2年前にスギやモミを数本なぎ倒してトレンチを作ってもらい、土壌水の鉛直プロファイルを調べるのに使っています。里山フィールドサイエンスというプログラムとしてお借りしているもので、里山が物質循環にどのような影響を与えていたかを調べるということで採択されました。電気を引くことも可能なので、こういうところでしかできない実験を思いついた学生さんは、是非ご相談下さい。
上記のテーマのサブテーマとして、燃焼起源窒素降下物による窒素流出があります。このテーマはイオンクロ、TOC計、TN計、ICP-MSなど、機器分析を多用します。こういった化学分析が大好きな方も大歓迎です。
手賀沼では2年間、動植物(植物プランクトン、動物プランクトン、魚、水生植物など)や水質の調査を行ってきて、様々な知見が蓄積されてきました。現場で硫化水素を測る方法を開発者の方から直接教えてもらって、その生物への影響についても調べています。手賀沼では沈水植物の復活を目指して市民団体の方が様々に努力されていて、なぜ復活しないのか調べてほしいそうです。手賀沼の水質、動植物、沈水植物復活に関する研究をされたい方、ご一報ください。
著書「里湖モク採り物語」で、1950年代半ばまでの日本の平野部の湖沼では沈水植物が肥料に使われるくらい繁茂していたことを指摘しました。しかしそのときにどのような植物が生えていたのかは不明な水域が多く、また浮葉植物や抽水植物についても、高度経済成長以前の様子がほとんど分かっていません。そこで、その頃の植生を復元する研究を、ロシアから専門の先生をお招きしてご指導いただきながら展開しています。この研究の進展に関心のある学生さんも歓迎です。この研究の発展として遺伝子による個体群の判別も考えています。その方面の学生さんもよろしければお越し下さい。
私が今、一番関心を持っているのは土砂移動の変化が水域生態系に与えた影響です。土木分野の学生さんWelcomeです。
文系の学生さんが来られる場合、ネット社会における水環境保全運動の展開について検討したいと思っています。化学物質過敏症などの「環境病」と言われている病気について、疫学的な調査ができないかも考えています。
その他のキーワードは樹林化、食物連鎖、ザリガニ、炭素・窒素安定同位体比、COD二枚貝トリハロメタン、透水性アスファルト、などなどです。
上記とは全然接点がなくても、水環境に関連してこんな研究をしてきて、続きもしたいけど行き先がないという、信念を持った学生さん大歓迎です。