嫁ヶ島の土木工事と景観

土木学会誌2011年1月号に、宍道湖の観光スポットとして有名な嫁ヶ島の記事がありました。たくさんの松の木が湖岸から遠望できる嫁ヶ島ですが、もともとは数本しかなかったそうです。小泉八雲がこの島を眺めていた頃は波浪による浸食が激しかったそうで、大正時代に護岸工事が行われました。これがすこぶる悪評で、芥川龍之介が「防波堤工事の目的が、波浪の害を防いで嫁が島の風趣を保存せしめるためであるとすれば、かくのごとき不細工な石がきの築造は、その風趣を害する点において、まさしく当初の目的に矛盾するものである」と書いたそうです。
この土木学会誌の記事では、現在の嫁ヶ島と大正時代の嫁ヶ島の写真が掲載されていて、「景観」を巡る様々なことを考えさせられます。