水銀条約を“水俣条約”と命名するとの日本政府の提案に対する水俣被害者団体及び支援者団体の声明

化学物質問題市民研究会のニュースレター「ピコ通信」第150号から。

1 月24 日(月)から28 日(金)まで、千葉市幕張メッセ国際会議場で、UNEP による「水銀に関する条約の制定に向けた政府間交渉委員会第2回会合(INC2)」が開催されました。
これに先立つ1月23日(日)に、水俣病被害者及び支援者の13 団体は「水銀条約を“水俣条約”と命名するとの日本政府の提案に対する水俣被害者団体及び支援者団体の声明」を世界に向けて発表しました。声明の概要は次の通りです。
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水俣病は現在も継続している悲劇である。
国際社会が水銀条約について協議するときに、日本政府はまず、国内の水俣病問題に向き合うべきである。55 年にわたりこの大惨事と闘ってきた我々は、水銀条約を“水俣条約”と命名することについて、この悲劇にきちんと向き合い、本質的解決の道筋が示されない限り、反対する。
日本政府は、2013 年の外交会議以前にその姿勢を糺し、水俣から何を学んだのかを明らかにし、そこで学んだことを実施し、解決に向けて具体的に歩み出していなければならない。日本政府は、次のことを誠実に実施しなくてはならない。
(1) 水俣病被害の全容を解明すること
(2) 全ての被害者へ補償すること
(3) 汚染企業を擁護するのでなく、「汚染者負担の原則」が確実に実施されることを保証すること
(4). 水俣及び不知火海の水銀汚染を浄化すること
(5). 被害者が地域社会で安心して暮らしていける医療や福祉の仕組みを確立すること
私たちは、魚を再び安全に食べられるよう、世界の水銀汚染が十分に低減される水銀条約を強く望む。


☆INC2における各国代表による主要な議論の概要については、化学物質問題市民研究会のウェブページで紹介されています。
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/mercury/INC2_Report_master.html


(追伸)ピコ通信、木曜にいつもの場所に貼っておきます。このブログで紹介した「エピジェネティクス毒性学入門」の後編は、一読の価値有りと思います。
エピジェネティクスはひょっとすると、人間の健康管理の概念をまったく新しいものに書き換えてしまうかもしれないのだ。DNA は運命だが、修正可能な運命だ。」