シャジクモ類の衰退原因と現状

科研費基盤B「湖沼生態系保全を目的とした車軸藻類衰退要因の解明と植生復元法の検討」の2年目の成果報告会を筑波大学で開きました。共同研究者の先生方が筑波大学所属で、私も自宅から自転車で行けて便利なので、昨年に引き続き会場をお願いしました。
この科研は3年ものなのですが、この2年間でとても貴重な成果が得られました。
今日のご報告では、意外な除草剤の意外な影響が紹介されました。社会に与える影響を考慮して、メカニズム解明が終了するまでは公表しないことになりました。また、湯ノ湖で水深が大きいところに多いNitella属のシャジクモは、浅いところだと強光阻害を起こすことが確認されました。
陸水研からはA君が、十和田湖でマルチビームソナーを使った沈水植物の分布範囲と体積比較を紹介しました。水深6mまでに繁茂する維管束植物よりも、水深8〜12mに繁茂するシャジクモ類の方が体積が倍前後大きいという、これまでに報告のない重要な発見なのに、本人は全然そう思ってくれませんでした。今日の発表で筑波大の先生方も「これはすごい」「○○して特許を取れば?」と高く評価され、A君はようやく、自分の研究の重要性を認識しだしたようです。
シベリアやオーストラリアのを対象にしたり、国内で除草剤の影響を調べたりでシャジクモとのおつきあいはそろそろ10年近くになりますが、まだまだ重要な知見を提供してくれそうです。