炭素同位体比-34‰のユスリカ

昨年度卒業したY君の修論、国際誌投稿用に英語に直していて、「あれ?付着藻類の炭素同位体比が-28なのに、ユスリカが-34?」
これは嫌気的な水柱における一次生産者の同位体分別では説明できないことに気づきました。これほど軽い同位体比、もしやメタン食物連鎖では?どこで見たんだっけ、メタン食物連鎖って言葉。。。と記憶を探って、そうそう、U君からいただいた「流域環境評価と安定同位体」という本をぱらぱらめくっていたときに見たんだと思いだし、読み返したらそのものズバリで、ユスリカの巣穴におけるメタン酸化の図が載っていました。これですよ、これ。手賀沼で起こっていること。

陸水ゼミのM1オリエンテーションでは、新しい分野に挑戦するときは、その分野の教科書をざっと読んでメタ理論を身につけましょうねと勧めます。目次を眺めて、ざっとめくるだけでも、流れとか強調点は分かるものです。今回はこの「ざっとめくる」だけで、メタン食物連鎖は結構普通にあるという記載が記憶に残っていたわけです。
M1のみなさんも、修論を進める上で関係しそうな分野については、大きめの書店にいったときに見やすそうな本をぱらぱらめくっておきましょう。もしかしたらそれが突破口になるかもしれませんよ。
余談
ユスリカ幼虫と並んで、アメンボもすごく軽い炭素同位体比でした。調べたら、アメンボって肉食で、ユスリカ幼虫も食べるんですね。にしてもメタン酸化が起こっているような嫌気的なハス群落で生まれ育ったなんて、驚きでした。ヨソから飛んできたとばかり思ってました。