髄液漏れ:厚労省研究班が確認、保険適用へ前進

知人から脳脊髄液減少症に関するネット記事を紹介いただきました。厚生労働省研究班の脳脊髄液減少症の定義では、認定される患者が実態よりはるかに少なくなると、数年前に脳脊髄液減少症研究会で激しい議論があったところです。今回の報告書で第二の水俣病のようなことになっていないか気がかりではありますが、存在すら否定されていたこの後遺症が認知されたという点では、一歩前進なのでしょうか。

毎日新聞 2011年6月7日 21時12分(最終更新 6月7日 23時04分)
激しい頭痛などを引き起こす脳脊髄(せきずい)液減少症(髄液漏れ)について、07年度発足の厚生労働省研究班(代表、嘉山孝正・国立がん研究センター理事長)が、「髄液漏れの患者の存在が確認できた」とする中間報告書をまとめた。発症は極めてまれとされていたが、報告書は「頻度は低くない」と指摘した。MRI(磁気共鳴画像化装置)などの画像の判定基準や診断の進め方についても案をまとめており、今後関係学会の了承を得たいという。治療法の基準作りや保険適用に向けて大きく前進するとみられる。
報告書によると、研究班は「頭を高くしていると頭痛が始まったり、ひどくなる」患者100人を分析し、放射線科専門医がMRIなどの画像を判定。班会議を重ね、うち16人は「確実」に髄液が漏れており、17人は「疑いがある」とした。
脳脊髄液減少症は、脳と脊髄の周囲を巡る脳脊髄液が漏れ、頭痛を招く。国内では00年以降、「交通事故被害者らの中にいるのに見落とされている」との指摘が出ていたが、「あり得ない」と否定する医学関係者がほとんどで、患者は医療機関を転々としたり、補償面で置き去りにされるなどしてきた。
06年、日本脳神経外科学会の学術委員会が初めてシンポジウムのテーマに採用。学術委員会の委員長だった嘉山理事長(当時は山形大医学部長)が、医学分野の垣根を越えた診断のガイドライン作りに取り組むことを宣言した。
研究班は日本脳神経外科▽日本整形外科▽日本神経▽日本頭痛▽日本脳神経外傷▽日本脊椎(せきつい)脊髄病▽日本脊髄障害医−−の各学会からの代表と、放射線医学、疫学・統計学の専門家が参加している。【渡辺暖】