たくましいシャジクモ

M2のK君、修論研究にシャジクモの卵胞子が確実に入っている泥が必要となり、一昨年は生えていた大学の近くにある通称「病院の池」に行ったのですが、今年は生えていませんでした。
一方、ここにはやっぱり今年も生えていて、お裾分けいただきました。某ため池近くの水田土壌をいれたプラスチックコンテナ。何もしないで生えるがままにしているそうですが、水深が4cmしかなく、水温も34℃という厳しい環境なのに、しっかりシャジクモが生えています(写真で右下の緑の塊がシャジクモです)。

浮葉植物が生えているコンテナでは生えていません。光が届かない、酸欠になりやすいなどの影響が考えられますが、それほど浮葉植物が密でなくてもシャジクモは生えていないので、シャジクモが生えにくいような物質を出している可能性も捨てきれません。

東北から九州まで各地のため池を見て、そしてこういう状況などを観察した経験から、日本の多くの平野部の湖沼でシャジクモを含む沈水植物が復活しない理由として、
1.発芽に必要な光が届かないこと(光が届けば、琵琶湖南湖のように復活しています)
2.届くような環境でも浮葉植物(アサザ、ヒシ、ハスなど)に覆われてしまっていること(諏訪湖がそういう状況では?堆積物が浮葉植物に有利になっている可能性もあります)
3.発芽してもアメリカザリガニに食われてしまうこと
ではないかと考えています。
今年度になっていろんなサイズの池を使えるようになったので、研究室のメインテーマのひとつとして、シャジクモ(及び沈水植物)が再生しない原因を実験・観察から解明していこうと思っています。