アサザはなぜ消えたのか?

バケツで栽培しているのは、アサザです。8月半ばは猛暑で水温が30℃以上になりましたが、元気に広がっています。ただし土を変えないでいるとやがては弱ってくるので、手入れがかかせないそうです。

バケツの水面を覆っているのと同様に、一時は霞ヶ浦(西浦)・根田地区の消波堤の内側を覆い尽くしていたアサザ。それが消滅したのはなぜか。
バケツアサザの土と根田の堆積物は、自然群落がある麻生の堆積物より、有機汚濁が進むと検出される物質が高い値でした。このことは消滅の一因が、波当たりが弱いところに浮葉植物が繁茂することで当然起こった有機物(=アサザの枯死体)の蓄積であることを示します。
アサザ保全と称して作られた根田の消波堤の内側では現在、写真のようにハス群落が入り込んでいます。昨年10月に調査したときより増えていました。

ハスは枯死植物で有機物が蓄積した環境に強いことが、手賀沼での調査で分かりました。伊豆沼では沈水植物を衰退させてしまったと報告されているハス。波当たりを減らして浮葉植物が繁茂しやすい環境を造ることは、かつて霞ヶ浦の生態系の根幹を為していた、そして今は消滅してしまった沈水植物の復活どころか、復活の可能性さえ奪う行為です。それはすなわち霞ヶ浦の自然を破壊する行為であることを、アサザ基金に賛同している方々や企業は、少しでも考えていただければと思います。
私の見解が間違っているとお考えの方は、麻生の自然群落と、今年もアサザ基金が植え付けをしている北浦・大船津の植栽地とを直接ご覧になってください。可能なら湖に入って、アサザが暮らす湖底がどんなものなのか、直接触れてください。アサザが安定して自生できるのはある程度波当たりのよい、有機物がたまりにくい環境であることが納得できると思います。