宍塚大池の豊かな自然とアサザプロジェクト

今朝のNHK総合さわやか自然百景」で、霞ヶ浦流域にある宍塚大池が紹介されていました。再放送は水曜午前11:05〜11:19とありました。
取材日記に「夏、虫網を持って走り回る子どもや、しきりと小川をのぞき込む子どもたちの姿を見ると、タイムスリップをしたような感覚にとらわれます。」とあるように、ここは本当に多様な虫や鳥にあふれ、子供達はそれらを追いかけまわします。例えば水辺で「アサザのお花見」なんて、みなさんが子供の頃やった記憶がありますか?水辺って、夢中になって魚や貝や虫を追いかけたり取ったりするところではありませんでしたか?少なくとも私が子供の頃の琵琶湖や長良川河口はそうでしたし、霞ヶ浦だって、あのアサザプロジェクトが始まるまでは、二枚貝がたくさんいた砂浜だったのです。境島周辺の砂底を「死の湖」に誘導したのは、アサザ基金です。
宍塚大池はもともとため池で、人が管理してきたものです。戦前のような管理が難しい今、住民には何ができるのか、NPO法人宍塚の自然と歴史の会は、この場所がどのように人と関わって来たかを丹念に調べ、また現在はどうなっているのか、多方面の専門家と相談しながら検討してきました。その結果を踏まえて、外来魚の駆除は毎日網をかけて何年も行っています。放映されたように、様々なトンボが住むことができるのでは、住民のたゆまない働きかけの結果なのです。浮葉植物のハスは増えすぎると多様性を損なうので、毎年刈り取りをしています。
霞ヶ浦流域には筑波学園都市のたくさんの研究所や大学があります。水や生物に関する専門家がこれほど多いのは、琵琶湖がある滋賀県とここだけだと思います。研究者の中には流域住民として、霞ヶ浦をどうするか活動している方も多いです。その誰ひとりとして、「アサザを植えることでやがては沈水植物が復活する」とのアサザ基金の主張を支持していません。逆に流域住民や研究者で構成される「霞ヶ浦研究会」が、アサザの植栽に強く抗議してきたことは、このブログでもたびたびご紹介した通りです。
霞ヶ浦流域では、今日紹介された宍塚大池以外にも、10年以上毎月、花室川の生物を観察してきた高校など、真摯に環境を考え、行動してきた団体が数多くあります。それらの団体は、地域の環境を本当に良くすることが目標ですから、全国に向かって宣伝を繰り返すことはしません。アサザ基金は逆です。だから全国的には、地道な活動をしている団体ではなく、アサザ基金だけが霞ヶ浦を守っているように誤解されています。
地域の自然を守る上で、ネットやマスコミを通じた情報操作がどれほど弊害になるか、アサザ基金は研究対象として非常におもしろいと思います。