アサザ基金のホームページに「私たちの取組みは現在多岐にわたっていますので、それらについての科学的な評価をしていただける研究者を求めています。」とあります。
http://www.kasumigaura.net/asaza/03activity/01lake/03soda/index.html
もしこれが自然科学としての評価だとしたら、あり得ないことだと思います。アサザ植栽にしろ、粗朶消波堤にしろ、本来なら事前に科学的にアセスメントをして、人工池などで試験して、その評価を得てから湖で行うべきです。なぜ、今さら研究者を求めているのですか?アサザ基金のこの文章は、私がかねてから批判しているように、アサザ基金の活動に科学的な根拠がないことを物語っていると思います(そしてアサザ基金が主張している「やがてはこうなる」は、自然科学の知見からは、真っ赤な嘘です)。
また「アサザの保護は霞ヶ浦再生事業の一部ですが、保護の背景には湖の水位管理の在り方や湖の生物多様性の保全等の重要な課題があることを十分に理解して頂き、批判をされる場合には、自分はどのように具体的に湖を再生する(例えば、沈水植物群落や水質改善、水位管理など)ことができると考えているのかを示して頂きたいと思います。一方的に相手を批判する姿勢では、霞ヶ浦再生の取組みの健全な発展は望めません。」
とあります。
http://www.kasumigaura.net/asaza/03activity/01lake/01sizen/index.html
霞ヶ浦をどうしていくかは、多くの専門家や地域住民が考え、研究したり保全活動をしたり、その結果どうなったかをモニターしてさらなる改善を試みたりしています。ただしそれらの活動は、アサザ基金のようにホームページで派手派手しく宣伝されているわけではありません。
また「アサザを植えれば砂がたまって、植生が回復して、やがては自然が再生します」みたいな、これをすれば全て解決!なんて魔法のような解決法はありません。例えば沈水植物にしても、私はよく、かつては霞ヶ浦の水草は沈水植物がメインだったと書いていますが、だからそれを復活させればよいなどと安易に提案などしません。たとえば琵琶湖では沈水植物の復活によって、様々な問題が起こっているからです。
一度壊したら完全に戻ることはないのが湖沼の環境です。ではこれからどう我々は霞ヶ浦とつきあっていくかを考えるとき、アサザ基金がメインに宣伝しているアサザ植栽と粗朶消波堤は、霞ヶ浦の環境を悪化させたことが科学的に明らかなので、科学者として誤りを指摘しました。それに対して「一方的に相手を批判する姿勢」と批判するのは、おかしくないですか?この団体は科学者の在り方について、完全に誤解をしていると思います。