神の視点、虫の視点

京都大学国際フォーラム「新たな知の統合に向けて」で、西洋と東洋では視点が異なるという紹介がありました。その発表では冒頭に池上嘉彦氏の実験を図で紹介していました。川端康成の「雪国」の文章を翻訳したものを読んで英語のネイティブスピーカーが思い描いた絵と、日本人が日本語を読んで思い描いた図を比較するというものです。結果、英語からの図は上空から汽車を描いた図、日本語からは開口部の先に雪山が見える図でした。前者は神の視点、後者は虫の視点。ここから庭園の作り方も違ってくることも説明されていました。
ご発表後に、これは東洋・西洋なのか、単に日本語だけでこうなるのか質問したら、韓国語は日本と同じ翻訳になるとのことだったので、では中国語ではどうなるでしょうとさらに質問しました。
数時間後に、メールに回答が入っていて、下記のURLを紹介いただきました。中国語でも日本語と同じ「虫の視点」のようです。
http://lailai-hanyu.at.webry.info/200712/article_8.html
東洋・西洋で視点が異なることが、これほどクリアに出るのはおもしろいと思いました。どのあたりまでが虫の視点になるのか他の言語で地図を作るとおもしろいと思いました。

追伸
同フォーラムで私は、アサザプロジェクトについて科学者として情報提供いたしました。霞ヶ浦以上に自然状態で波が高い琵琶湖、そして、コンクリート護岸のまま、水位操作の変更もないまま沈水植物が復活している琵琶湖に近い京都大学では、アサザ基金の宣伝が嘘の固まりであることが、一般市民の方にも当たり前に理解いただけました。琵琶湖や宍道湖など、大きな湖はそもそもどういう場なのか見てから霞ヶ浦の現状を見てくだされば、アサザ基金がやっていることがでたらめであることが一目瞭然になるのにと、改めて思いました。
私が発表した日は科学コミュニケーションを専門とする先生のご発表もあって、閉会後、関連の先生方と相談させていただきました。
科学コミュニケーションの分野でも、アサザ基金のようなポピュリズム、そして利権・政治が問題になっているとのことでした。今後いろいろご助言いただけそうで、大変忙しい中、参加してよかったと思いました。アサザ基金のように科学ではないのに科学を装っている営利団体に、科学者が対応するには限界がありますから。