沈水植物はなぜ再生した?

沈水植物は富栄養化の進行とともに衰退し、その再生には衰退時以上の水質浄化が必要になると説かれていました(例えばScheffer、2001)。しかし宍道湖ではCODで示される水質はむしろ悪化傾向であった2009年に、沈水植物が再生しました。平行してアオコが発生するようになり、二枚貝ヤマトシジミの生産が激減しています。
宍道湖ではなぜ、CODで代表される水質はよくなっていないのに、沈水植物が生えだしたのか。その原因が分かれば、沈水植物の再生を目指している霞ヶ浦手賀沼など他湖沼での応用が期待できます。同時に、沈水植物の再生が水質や経済社会活動にどのような影響を与えるかを整理し、その対応策を検討する必要もあります。
11月20日頃にA先生から、「沈水植物関連で研究提案しよう」と誘われ、いいですよと答えたら、なぜか私がとりまとめることになりました。30日締め切りだったので結構大変でしたが、上記課題で何とか書き上げて提出しました。

ヤマトシジミによる水質浄化機能で学位論文を書いていた頃(20数年前)の宍道湖は、赤潮が発生することがあったくらい、今より塩分が高めでした。当時くらい塩分が高ければ、アオコの発生は抑えられるのではないかと思っています。関連して、汽水域の水質目標として、「目標塩分」があってもいいのではないかと考えています。塩分が変わるといろんなことが一気に変わるのが、汽水域だからです。