日本陸水学会「川と湖を見る・知る・探る 陸水学入門」

日本陸水学会が一般への普及を目指して編集した本です。このため「第一部:川と湖を見る・知る・探る」は、陸水学を既に学んでいる学生さんには既知のことばかりと思いますが、水について全く勉強したことのない方には分かりやすいかもしれません。
「第二部:陸水学の今がわかるトピックス24」は、知らないこともあって参考になりました。例えばオニバスは通気組織が発達していないので底質の悪化で衰退したのではないかとの指摘(たぶん霞ヶ浦アサザ植栽が失敗しているのも同じ理由)、渓畔林では魚が落ちてくる虫を食べる、バイカル湖では100万年オーダーで出現・消滅を繰り返す珪藻がいる、農業の合理化(圃場整備、化学肥料と農薬の使用、農業の機械化)に伴う琵琶湖の農業濁水問題など。
「第三部:日本の陸水学史」も、どちらかというと陸水学関係者向けで、既著にない情報にウエイトがおかれているように感じました。
学部生には「付録:もっと詳しく知るために」での書籍紹介が役立つかもしれません。

川と湖を見る・知る・探る: 陸水学入門

川と湖を見る・知る・探る: 陸水学入門