ハスと抽水植物2

浮葉植物のハスは伊豆沼や琵琶湖など、各地で問題になっています。アサザ基金が植栽をしていたところも、消波させた為にハスが入り込んでいます(たとえ粗朶を使った消波堤であっても、消波効果がある限りは、泥がたまってハスが侵入しやすくなるのです)。
手賀沼でも抽水植物が衰退したのはハスが原因である可能性が高く、マコモ保全を願う方々は行政に対策を求めているのですが、具体的にハスがどのような悪影響があるかを定量的に示す必要があるそうです。
そこで当研究室で予算を獲得して、地元の住民の方と研究者の方にも支援いただきX先生の指導を頂きながら、実験池にハスと抽水植物を植栽して調べてみることにしました。
使用する実験池にはヘドロがたまっているので、それを除去した後どのような土をいれるかで、地元の方に紹介された、手賀沼堆積物を掘り出したものをX先生と見に行きました。掘り出された土には植物も侵入していて、一見よさそうに見えたのですが。。。

X先生は水生植物がご専門ですが、小学生の頃は貝にはまっていたそうで、貝や、その貝の住み場所を規定する地形学・地史学にもお詳しく、手賀沼を見ていたときも、「こういう地形は大阪だと上町台地くらいですから」みたいな、地学の人とするような会話もしていました。そんなX先生、私が持ってきたショベルで少し掘り返して、「これはダメです。硫化物臭がします。かなり富栄養な所から採って来たのではないでしょうか。」さらに掘り返して「これは海成層が混ざっているから硫化物臭がするのかもしれません。海産の貝がいます。これでは水草は出ません。」
どうやら手賀沼湖底の現在の表層だけでなく、縄文海進の昔にたまった所まで掘ってしまった土だったようで、右から順に海産、汽水産(かなり大きいけど、たぶんヤマトシジミ)、淡水産の貝がでてきました。ヤマトシジミの下にあるのが、上の写真の乾いたところを掘った土です。

本日はこれらの結果を地元の住民の方や研究者の方にご紹介して土をどうするか議論し、黒土と砂を混ぜたものをいれることになりました。
今年度から少なくとも3年かけて、実験が始まります。どんな結果になるか、今から楽しみです。